2026.01.28
モートン病とは|前足部にしびれや焼けるような痛みが生じる足の神経障害
モートン病(Morton’s neuroma)は、足の指の付け根付近(前足部)に、しびれや焼けるような痛み、刺すような感覚が生じることがある足の神経障害です。日常生活の歩行だけでも症状が現れることがありますが、歩行量が多い人や、前足部に繰り返し負荷がかかる人では症状が目立ちやすいとされています。そのため、スポーツやトレーニング中の踏み込みや切り返し動作をきっかけに、痛みやしびれを自覚するケースも少なくありません。
モートン病とは何か
モートン病は、足指へ向かう神経が前足部で圧迫や刺激を受けることで起こる神経障害です。一般に「神経腫」と呼ばれることがありますが、腫瘍そのものが形成されるわけではなく、神経周囲の組織に変化が生じた結果としてみられる偽性腫瘍と説明されています。そのため、神経の肥厚や周囲組織の変化によって、痛みやしびれが生じると考えられています。
症状が起こりやすい部位は、足の第3趾と第4趾の間とされ、歩行や走行時に荷重が集中しやすい構造が関係していると考えられています。
モートン病になりやすい人
モートン病は誰にでも起こりうる足の神経障害ですが、前足部に負担がかかりやすい生活条件の人では症状が出やすい傾向があります。歩く時間が長い人や、立ち仕事が多い人では、日常生活の中で前足部への刺激が繰り返されやすくなります。
また、女性に多いとされることがあり、ハイヒールなど、つま先が細く足の前側に体重がかかりやすい靴を履く習慣が影響している可能性があります。
スポーツや運動時にみられやすい症状
モートン病では、前足部にしびれや焼けるような痛み、刺すような感覚が出ることがあります。症状は運動中や運動後に現れやすく、走る、跳ぶ、踏み込むといった動作で強く感じられることが少なくありません。
また、「靴の中に小石が入っているような感じ」「前足部に違和感が残る」と表現されることもあり、シューズを脱ぐと楽になるという訴えがみられる点も特徴の一つです。
なぜ運動やスポーツで症状が目立ちやすいのか
モートン病は、前足部で神経が繰り返し圧迫されることが背景にあります。運動やスポーツでは、蹴り出しや着地、方向転換の際に前足部へ負荷が集中しやすく、こうした動作の反復が神経への刺激につながると考えられています。
そのため、運動時に使用するシューズの影響は無視できません。つま先部分に余裕が少ないシューズや、足の前側に体重がかかりやすい構造のシューズでは、前足部が圧迫されやすくなります。その状態で運動量が増えると、神経への負担が重なり、違和感や痛みとして自覚されやすくなる傾向があります。だからこそ、運動の内容だけでなく、シューズやインソールがいかに自分の足にフィットするかも重要になります。
足底腱膜炎との違い
足底腱膜炎は、かかとから土踏まずにかけて痛みが出やすく、朝起きて最初の一歩で強く痛むといった特徴があります。一方、モートン病では足指の付け根付近にしびれやピリッと走る痛み、放散するような感覚が現れやすく、痛みの出る場所や感じ方が異なります。足底腱膜炎では神経由来のしびれを伴うことは一般的ではないため、足指の付け根付近にしびれや鋭い痛みが続く場合は、かかとや土踏まずが主に痛む足底腱膜炎とは別の状態として考えられます。
治療の基本的な考え方
モートン病の治療では、前足部の神経にかかっている負担を減らすことが基本になります。症状の出方や生活状況を確認したうえで、保存療法が選択されることが多く、シューズの調整やインソールの使用、活動量の見直しなどがすすめられることがあります。痛みやしびれが強い場合や、保存療法によっても改善がみられない場合には、医療機関で状態を評価し、必要に応じて超音波検査やMRIなどの検査が行われます。その結果を踏まえて、症状に応じた治療方針が検討されます。偽性神経腫の切除などの手術療法が行われる場合があります。
回復までの目安
モートン病は、前足部への負担が軽減されることで、数週間から数か月かけてしびれや痛みが徐々に落ち着いていくことがあります。特に症状が出始めた段階では、靴や動作の見直しなどの保存的な対応によって改善がみられるケースもあります。
一方で、前足部への圧迫や刺激が続いたままになると、症状が繰り返し現れるようになり、回復までに時間がかかったり、慢性化したりすることもあります。そのため、前足部のしびれや焼けるような痛みが続いている場合は、症状の変化を目安に、前足部への負担を早めに調整していくことが回復へのポイントになります。
参考文献
- 医療情報科学研究所『病気が見える11 運動器・整形外科』メディックメディア
- ZAMST『対策HANDBOOK 足の痛み』日本シグマックス
- StatPearls Publishing.
Morton Neuroma. In: StatPearls.
Treasure Island (FL): StatPearls Publishing. - Jain S, Mannan K.
The diagnosis and management of Morton’s neuroma: a literature review.
Foot Ankle Spec. - Bennett GL, Graham CE, Mauldin DM.
Morton’s interdigital neuroma: a comprehensive treatment protocol.
Foot Ankle Int. - Sharp RJ, Wade CM, Hennessy MS, Saxby TS.
The role of MRI and ultrasound imaging in Morton’s neuroma.
J Bone Joint Surg Br.
記事監修・整形外科医

- 毛利 晃大先生
- 順天堂大学医学部卒業、日本救急医学会専門医、日本整形外科学会会員
日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター