ただいまのご注文で最短お届け(対象エリア) /
2,200円以上で送料無料

ZAMST Online

オスグッド・シュラッター病|成長期に多発する膝の痛み

スポーツをする成長期に多く見られる膝のスポーツ障害としてオスグッド・シュラッター病があります。この症状は小中学生男子に多く見られ、ジャンプ動作での膝屈伸時や、ダッシュやキック動作によって脛骨と膝蓋靱帯の結合部がはがれたり、炎症を起こします。米国での調査では12歳から15歳(男女)におけるオスグッド・シュラッター病の有病率は9.8%といわれています。ここでは、オスグッドが発症する原因や実際の痛み、治療法や予防について解説します。

成長期の膝の仕組み

下の図は成長期の膝を横から見たものです。骨の成長期にあり、骨端線はまだ閉じていません。膝を伸ばす時は大腿四頭筋が膝蓋骨を介して脛骨粗面(けいこつそめん)を牽引します。牽引力を生みだす大腿四頭筋は大きな筋肉である一方で、牽引される側の脛骨粗面は、個人差はあるものの、約1.5㎝×2.0㎝くらいの大きさで、剥がれやすく弱い構造です。

オスグッド・シュラッター病とは

成長期は急激に身長が伸びて骨も急成長を遂げますが、筋や腱などの軟部組織は同じようには成長しません。そのために生じる大腿四頭筋の柔軟性低下(いわゆる太ものの筋肉が硬い)をきっかけに、ジャンプやダッシュなどの繰り返しの動作により、膝蓋骨を引っ張る力が脛骨粗面に加わります。

 

膝を伸ばす牽引力は骨化途中の骨端線(成長軟骨板)に負荷を与え、これが繰り返されると脛骨粗面が剥離したり、炎症を起こします。これがオスグッド・シュラッター病です。陸上競技、サッカー、バレーボール、バスケットボール、バドミントン、動作ではジャンプ、ダッシュ、キック、フルスクワットなどで起こりやすい症状です。

実際の症状

膝のお皿の下、脛骨の骨上部あたりで特に運動時に痛みを感じます。また熱を帯びたり、腫れなどの症状があります。また、症状が進行すると該当部位が隆起してくることがあります。ジャンプ時の疼痛が原因でジャンプ力が低下したり、ダッシュ時の疼痛でタイムが低下したりするなど、スポーツ能力の低下に直結しますが、突発的な症状では無いため、判断が難しく、痛みを抱えながらも競技をするケースが見られます。

 

脛骨粗面部の骨端線閉鎖後(18歳頃)には快復することが多いのも特徴です。ただし、成人になって運動による強い力が膝に再び加わる(オーバーユース)と、異常骨形成部に痛みが発生するオスグッド後遺症と呼ばれる症状がみられることがあります。

予防とリコンディショニング

膝蓋骨下を押すと痛みがあるとオスグッドが疑われますので、早めに診察を受けましょう。消炎鎮痛薬(外用内服)や超音波、低周波などの物理療法など、治療法がありますが、主治医の指示に従ってください。

 

予防としては、成長期の選手は自ら運動量の調整を判断できない場合もあるので、周囲の大人がコンディションを把握することが重要です。脛骨粗面を押すチェックなどを定期的に行うように指導しましょう。 また、大腿四頭筋の柔軟性が低下する(いわゆる太ももの筋肉が硬い)ことも、膝への負荷を増加させることの契機になるため、大腿部の柔軟性チェックも併せて行うと良いでしょう。

脛骨粗面を押して、痛みや熱感、腫張がないかをチェックします。
腹臥位で膝を曲げ、かかとが臀部につくかどうかを調べます。大腿四頭筋の柔軟性が低下していると、かかとと臀部の間に隙間ができます。

上記のような定期的なチェックをふまえて、予防やリコンディショニングには、大腿四頭筋の柔軟性向上を目的としたストレッチングやアイシング、ウォームアップとクールダウンが大きな役割を果たします。また膝蓋腱を圧迫・固定するサポーターの使用も有用です。

 

オスグッド・シュラッター病 予防のポイント&トレーニング編

まとめ

  • オスグッド・シュラッター病は、成長期に起こりやすい膝の症状です。スポーツに熱中しているこどもであればなおさら、痛みがあっても無理してプレーを続けるケースもあります。周囲の保護者や指導者がよく観察し、無理をさせないようにフォローしましょう。
  • 脛骨粗面を押すチェックと大腿部の柔軟性チェックを定期的に行いましょう。
  • 予防のために大腿四頭筋の柔軟性向上を目的としたストレッチングやアイシング、ウォームアップとクールダウンを実施しましょう。
  • 膝蓋腱を圧迫・固定するサポーターの使用も試してみましょう。

参考文献

  • 『Sports Medicine Library』 ZAMST
  • 『対策HANDBOOK ヒザの痛み』 ZAMST
  • Smith JM, Varacallo M. Osgood-Schlatter Disease. [Updated 2022 Sep 4].
  • 医療情報科学研究所 『病気がみえるvol.11 運動器・整形外科』メディックメディア
  • 竹井 仁監修『ビジュアル版 筋肉と関節のしくみがわかる事典』西東社

記事監修・ドクター紹介

毛利 晃大先生
毛利 晃大先生
順天堂大学医学部卒業、日本救急医学会専門医、日本整形外科学会会員 日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター

足の痛みについてより深く学びたい方へ

各痛みに関するドクターによる症状解説、トレーナーによる対処法解説がアーカイブ化されています。
※サポーターの使用によりこれらの症状に効果があるわけではありません。