ただいまのご注文で最短お届け(対象エリア) /
2,200円以上で送料無料

ZAMST Online

マレットフィンガーとは|指先が伸びなくなる原因と治療の基本的な考え方

マレットフィンガー(槌指:つちゆび、ついし)は、指先に強い力が加わったあと、指先を自分の力で伸ばせなくなる状態を指します。スポーツ中にボールが指先に当たったときや、日常生活で不意に物に指をぶつけたときなどに起こりやすく、「突き指」と思われて様子を見てしまうケースも少なくありません。しかし、マレットフィンガーでは指を伸ばす腱や骨が損傷していることがあり、放置すると指先が曲がったまま残る可能性があります。そのため、痛みの強さだけで判断せず、状態を正しく理解することが重要です。

マレットフィンガーとは何か

マレットフィンガーは、指の先端にあるDIP関節(遠位指節間関節)で、指を伸ばす伸筋腱が損傷する、あるいは骨折を伴って剥がれることで起こる外傷です。その結果、指先を自分の力で伸ばすことができなくなり、指先が下がった状態になります。このとき、DIP関節が木槌(マレット)のように曲がった形になることから、マレットフィンガーと呼ばれています。

 

腱のみが損傷する場合と、末節骨の剥離骨折を伴う場合があり、見た目や初期の痛みが軽いこともあるため、受傷直後に重大さに気づきにくい点が特徴です。

どのようなときに起こるのか(受傷機転)

マレットフィンガーは、指先に急激な外力が加わることで発生します。代表的なのは、スポーツ中にボールが伸ばした指先に当たった場合で、バレーボールやバスケットボール、野球などの球技で多くみられます。

 

また、日常生活でも、転倒時に手をついたときや、ドアや家具に指先を強くぶつけたときなど、不意の動作で起こることがあります。

いわゆる「突き指」との違い

マレットフィンガーは、一般に「突き指」と一括りにされがちですが、状態としては異なります。突き指は関節周囲の靱帯や軟部組織の損傷を指すことが多いのに対し、マレットフィンガーでは指を伸ばす腱、あるいは骨そのものが損傷しています。

 

また、受傷直後の痛みや腫れが比較的軽い場合もあり、スポーツの現場では突き指と誤解されやすいことが指摘されています。痛みが強くないからといって軽症とは限らない点が、マレットフィンガーの見逃されやすさにつながります。

マレットフィンガーの主な症状

マレットフィンガーの最も特徴的な症状は、指先が下がったままになり、自分の力で伸ばせないことです。他動的に伸ばすことはできても、力を抜くと再び指先が下がる場合があります。

 

腫れや内出血、痛みを伴うこともありますが、痛みが軽いケースもあり、外見上の変化だけが目立つこともあります。

骨性マレットと腱性マレットの違い

マレットフィンガーには、腱性マレットと骨性マレットの2つのタイプがあります。腱性マレットは、伸筋腱が断裂することで起こり、X線検査では明らかな骨折が確認されない場合があります。

 

一方、骨性マレットは、伸筋腱が付着する末節骨が剥離骨折を起こした状態で、画像検査によって骨片が確認されます。

なぜ早期対応が重要なのか

マレットフィンガーは、受傷後すぐに適切な対応が行われないと、指先が曲がったまま固定化してしまうことがあります。時間が経過すると、関節の変形や可動域制限が残る可能性があるため、早期に状態を把握することが重要です。

治療の基本的な考え方

マレットフィンガーの治療では、指先を伸ばした状態で固定する保存療法が基本になります。多くの場合、スプリントなどを用いてDIP関節を一定期間固定し、腱や骨の回復を促します。

 

保存療法による固定は、数週間から数か月にわたって行われることが一般的です。固定期間中は、少しでも指先が曲がってしまうと回復が遅れる原因になるとされており、固定を継続することが重要です。固定が途切れやすい状況が続くと、治癒までに時間がかかる可能性があります。

 

骨折の程度や関節の不安定性によっては、手術が検討される場合もありますが、治療方針は損傷の状態を評価したうえで判断されます。

回復までの目安と経過の考え方

回復の経過には個人差があり、固定後もしばらく指の動かしにくさや違和感が残ることがありますが、時間の経過とともに改善していくケースもみられます。

リハビリ・リコンディショニングの考え方

マレットフィンガーでは、固定によって腱や骨の回復を図ることが治療の中心になりますが、固定が終了したあとには、指を再び使うための段階的な調整が必要になることがあります。固定期間中は関節を動かさないため、固定解除後に指の動かしにくさや違和感が残る場合があります。

 

特にスポーツを行う人では、いきなり元の強度で指を使うのではなく、状態を確認しながら徐々に負荷を戻していくことが重要になります。リハビリやリコンディショニングは、指の動きや使い方を整える位置づけとして考えられ、競技復帰を急ぎすぎないことが回復を妨げないポイントになります。

スポーツを行う人が知っておきたい視点

スポーツ中にマレットフィンガーを起こした場合、痛みが軽いことで競技を続けてしまいがちですが、固定が不十分な状態で指を使い続けると、回復に影響することがあります。早期に適切な固定が行われれば競技復帰が可能となるケースもありますが、復帰の時期や方法は損傷の状態によって異なります。

医療機関を受診する目安

指先を自力で伸ばせない状態がみられる場合や、腫れや痛みが軽くても変形が続く場合は、早めに医療機関を受診することがすすめられます。放置せずに評価を受けることで、回復の見通しを立てやすくなります。

※本記事は、身体の状態や不調に関する一般的な情報提供を目的としたものです。記載されている内容は、特定の症状や状態に対する効果を保証するものではありません。症状が続く場合や気になる点がある場合は、医療機関にご相談ください。

参考文献

  • 医療情報科学研究所『病気が見える11 運動器・整形外科』メディックメディア
  • StatPearls Publishing Mallet Finger StatPearls
  • Handoll HHG, Vaghela MV Interventions for treating mallet finger injuries Cochrane Database Syst Rev
  • Alla SR, Deal ND, Dempsey IJ Current concepts: mallet finger Hand (N Y)
  • 日本シグマックス株式会社. SPORTS MEDICINE LIBRARY. ZAMST.

記事監修・整形外科医

毛利 晃大先生
毛利 晃大先生
順天堂大学医学部卒業、日本救急医学会専門医、日本整形外科学会会員
日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター