足底腱膜(足底筋膜)とは|構造と役割、土踏まずを支えるしくみ
足の裏の皮膚と脂肪の下には、かかとから足指の付け根まで、扇のように広がる丈夫な膜があります。これが足底腱膜(そくていけんまく)です。足底筋膜(そくていきんまく)と呼ばれることもあります。立っているときも、歩いたり走ったりしているときも、足底腱膜は土踏まずの形を保つ役目を担っています。
この記事では、足底腱膜の形と付き方、足裏の筋肉との関係、土踏まずを支えるしくみ、アキレス腱側とのつながりをご紹介し、最後に足底腱膜に起こる主なトラブルに触れます。
足底腱膜とは|足裏を支える丈夫な膜
足底腱膜は、足の裏にある厚く丈夫な膜です。かかとの骨である踵骨(しょうこつ)の、内側の出っ張りから始まり、前へ向かうにつれて幅を広げ、扇のような形になります。
前へ進むと、足底腱膜は5本の束に分かれます。それぞれの束は、足指の付け根の関節の裏側にある組織に付き、そこを介して、足指の骨である基節骨(きせつこつ)へつながっています。
見た目は真珠のような光沢のある白い膜で、線維の多くは、かかとから足指の方向へ縦に並んでいます。厚さは、かかとに近いところでも数ミリほどで、指先に向かうほど薄くなります。足の裏の皮膚とも細い線維の仕切りでしっかりつながっており、かかとの下では、膜と皮膚の間に厚い脂肪のクッションがあります。
「足底腱膜」と「足底筋膜」
足底腱膜と足底筋膜は、同じ組織を指す呼び名です。英語でも、腱膜にあたる plantar aponeurosis と、筋膜にあたる plantar fascia の2つの名前があり、解剖学の教科書でも研究論文でも、どちらも使われています。
足底腱膜の構造と、足裏の筋肉との関係
足底腱膜の奥には、足裏の筋肉が並んでいます。足底腱膜の3つの部分は、それぞれ別の筋肉を足の裏側から覆っています。中央の部分は足指を曲げる短趾屈筋(たんしくっきん)を、内側の部分は親指を外へ開く母趾外転筋(ぼしがいてんきん)を、外側の部分は小指を外へ開く小趾外転筋(しょうしがいてんきん)を覆っています。
足底腱膜の奥側の面からは、仕切りの膜がいくつも足の奥へ伸びていて、足裏の筋肉を区画に分けています。足裏の筋肉の一部は、足底腱膜やこの仕切りの膜に付いています。足底腱膜は、筋肉の表面を覆うだけでなく、筋肉の付け根の一部にもなっています。
足底腱膜には神経も通っていて、膜の中には、圧や伸びを感じ取る感覚の受け手が見つかっています。
足底腱膜の役割|土踏まずを支えるウィンドラスメカニズム
弓の弦のように土踏まずを支える
足の骨は、かかとの骨から足の甲の骨にかけて、弓のような形を作っています。これが内側の縦アーチ、いわゆる土踏まずです。足底腱膜は、この弓の両端を下から結ぶ弦のような位置にあります。
立って体重がかかると、弓はつぶれて前後に伸びようとします。このとき足底腱膜が張って、かかとの骨と足の甲の骨が離れていくのを食い止め、土踏まずの形を保ちます。足底腱膜が切れると、アーチが下がることを確認したという研究結果もあります。
足指が反ると、土踏まずが引き上げられる
足底腱膜は、かかとの骨と足指の付け根を結ぶケーブルにたとえられます。歩いたり走ったりして、かかとが上がり、足指が反ると、足底腱膜は、足の甲の骨である中足骨(ちゅうそくこつ)の足指側にある丸い先端に巻き付くように引っぱられます。すると、かかとの骨と中足骨の距離が縮まり、土踏まずが持ち上がると説明されています。ロープを巻き取って張る仕掛け(ウィンドラス、巻き上げ機)になぞらえて、このしくみはウィンドラスメカニズムと呼ばれています。
ウィンドラスメカニズムが発揮されることで、蹴り出しのときに足をたわみにくくして、地面を押す力を伝えやすくするはたらきが生じるとされています。
走るときは、ばねのように力をためて返す
走るときには、着地で土踏まずが押しつぶされて足が少し伸び、足底腱膜はゴムのように引き伸ばされて力をためます。そして足が地面を離れるときに、ためた力の多くを返し、蹴り出しを助けると紹介されています。
足底腱膜とアキレス腱のつながり
足底腱膜とアキレス腱は、かかとの骨をはさんで、足の裏側と後ろ側にあります。胎児のころには両者がつながっていて、年をとるにつれてそのつながりが薄れていく、と考える解剖学者もいます。
研究によると、足底腱膜は、かかとの骨の表面を覆う骨膜(こつまく)と重なる、厚さ1〜2mmほどの薄い帯となってかかとの骨を包むように続き、アキレス腱を包む薄い膜であるパラテノンへとつながっていることが示されています。足底腱膜は、アキレス腱そのものと直接つながっているというより、かかとの骨膜とパラテノンを介してつながっている、ということです。
足底腱膜に起こる主な症状・疾患
足底腱膜に起こる代表的なトラブルを3つご紹介します。
足底腱膜炎(足底筋膜炎)
足底腱膜がかかとの骨に付く部分に起こる障害で、かかとの痛みの原因として代表的なものです。朝起きて歩き出す最初の数歩で、かかとの内側の下が鋭く痛むのが典型的な症状です。くり返しの負担が主な原因とされています。くわしくは「足底腱膜炎(足底筋膜炎)とは」をご覧ください。
足底腱膜の断裂
足底腱膜が切れるもので、急に起こることも、長い経過の中で起こることもあります。急に起こると、足の裏で何かがはじけるような感覚とともに、強い痛み、皮下出血、腫れが出ることがあります。
足底線維腫症
足底腱膜の一部が、しこりのように厚くなる良性の病気です。足裏の内側寄りに、痛みのないしこりとして見つかることが多いとされています。
足裏やかかとの痛みは、骨や神経など、足底腱膜以外が原因で起こることもあります。痛みが続く場合、整形外科で診てもらってください。
まとめ|足底腱膜は、土踏まずの「弦」であり「ばね」でもある
足底腱膜は、足裏の筋肉を覆うだけの膜ではありません。立っているときは弓の弦として土踏まずを支え、蹴り出しでは足指が反る動きを利用して土踏まずを引き上げ、走るときには力をためて返します。体重を支えることと、体を前へ押し出すこと。足がこの両方をこなすしくみの一部を、足底腱膜が担っています。
かかとの後ろ側では、足底腱膜は骨膜とアキレス腱を包む膜(パラテノン)を介して、アキレス腱側ともつながっています。
本記事の情報の取り扱いについて
本記事は、医学文献に基づいて一般的な情報をまとめたものであり、個々の症状に対する診断や治療を示すものではありません。足裏やかかとの痛みが続く場合は、自己判断をせず、整形外科など医療機関にご相談ください。
参考文献
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記事監修・整形外科医

- 毛利 晃大先生
- 順天堂大学医学部卒業、日本整形外科学会会員 日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター