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シンスプリントとは|症状と予防 新入部員に多いすねの内側の痛み

シンスプリントは、陸上競技選手によく見られるスポーツ障害です。新人選手がこのケガをしやすく、そのため「陸上競技の五月病」とも称されます。特にランナーにおいて、20~50%の確率でこのケガが起こるというデータもあります。シンスプリントとは何か、また春先になぜ多く発生するのかを、この記事では紹介します。

シンスプリントとは

シンスプリントは、ランナーに多いスポーツ障害で、下腿の骨膜が炎症を起こすことで、すねの内側に痛みが現れる障害です。この症状は、「脛骨過労性骨膜炎」や「MTSS(Medial Tibial Stress Syndrome)」とも称されます。

シンスプリントの原因|どんな人がシンスプリントになりやすい?

シンスプリントの主な原因はオーバーユースだとされています。すねの部分には、ふくらはぎの筋肉を代表する下腿三頭筋や後脛骨筋など、多くの筋肉が付着しています。これらの筋は、ランニングやジャンプの動作の際に、すねの骨膜を引っ張ります。この動作を過度に繰り返すことで、筋肉と骨膜の間にストレスが生じ、炎症が起きるリスクが高まると言われています。

 

ランニングを伴うスポーツや、サッカー、バスケットボールなどで、この障害が頻繁に発生することがあります。特に日本の春先、中学生や高校生、大学生の新人選手の間でシンスプリントが多く見られます。これは、4月に新学期がスタートし、クラブ活動が活発になることが大きく関わっています。走り込みで急激に運動量が増加することから、急性の症状として発症することが多いようです。

 

シンスプリントは、オーバーユースが主な原因とされていますが、以下の要因もシンスプリントの発症に関与していると考えられています。

 

  • 硬い道路や路面での走行
  • 踵の摩耗がある薄くて硬いシューズ
  • 適切でないシューズやスパイクの選択
  • O脚や回内足、扁平足などの足の形状の特徴
    (走りやジャンプの時に膝が内側に入る動き(ニーイン)の癖がある人も注意)
  • 下腿三頭筋の柔軟性の不足
  • 股関節や膝、足関節の柔軟性の不足
  • 足関節の動きの制限

 

これらの要因を考慮して、トレーニングや選手の管理を行うことで、シンスプリントのリスクを低減させる工夫をしましょう。

踵のすり減ったシューズもシンスプリントの一因になりかねません。運動時に使うシューズやスパイクの靴底には注意しましょう。

シンスプリントの症状

シンスプリントの症状は、すねの内側に徐々に圧痛が現れ、運動時の痛みや腫れが主な症状となります。足を曲げる筋肉の動作に抵抗があると痛みが強くなりますが、適切な休息を取ると痛みは減少する傾向があります。

症状の進行は、以下のように段階的に分類されます。

Stage1痛みは存在しますが、ウォームアップで軽減します。
Stage2ウォームアップで痛みは軽減するものの、スポーツ活動の終わり頃に再び痛みます。
Stage3スポーツ活動中は常時痛むが、日常生活には影響ありません。
Stage4常に痛みが存在し、日常生活にも支障をきたします。

シンスプリントはどんな痛み?

シンスプリントの痛みの位置は、運動時にふくらはぎの内側の下の方1/3程度の範囲に現れます。初期段階では、少しの違和感を覚える程度ですが、状態が進行すると、何もしていない状態で痛みを感じたり、走行が困難なほどの痛みがでたりする場合があります。

シンスプリントと疲労骨折の違いは?

シンスプリントと脛骨疲労骨折は、痛みの発生箇所が似ており、区別が難しいことがあります。脛骨疲労骨折の一つである「疾走型」は、ふくらはぎの内側の上部や下部に痛みを感じる場合があります。一方、バレーボールやバスケットボールなどで見られる「跳躍型」の脛骨疲労骨折は、ふくらはぎの内側の中央部に痛みが現れます。

 

脛骨疲労骨折は、痛みの範囲がより限定的、すなわちピンポイントであると一般的に考えられています。しかし、シンスプリントとの明確な区別は難しいことが多いです。そのため、症状が現れた場合は、整形外科の専門医に診てもらうことをおすすめします。

シンスプリントの治療とリコンディショニング

シンスプリントの治し方は?

急性期には、ランニングやその他のトレーニングを一時停止し、患部を安静に保ち、アイシングを当てることや消炎鎮痛剤の使用で治療を進めます。

リハビリテーションとリコンディショニング

  1. 急性期の対処
    • 明確な痛みがある場合は、ランニングを中断することが必要です。
    • 痛みの局所を安静に保ちましょう。
  2. 安静時のエクササイズ
    • 下肢に負担をかけない活動、例えば水泳やエアロバイク(特に踵を使ってペダルを踏む方法)が推奨されます。
    • 股関節、足関節、アキレス腱を中心としたストレッチング。
  3. 痛みの減少に伴うリハビリ「自発的な痛みや歩行時の痛みがなくなったら」
    • タオルを足の指でつかむエクササイズ(タオルギャザー)や、足関節の軽いチューブトレーニングを開始します。
  4. 復帰のステップ「圧痛(外部からの圧で感じる痛み)がなくなったら」
    • ウォーキングを始めます。
    • その後、両足での踏み切りジャンプを試み、痛みがなければランニングを再開します。ただし、硬い路面は避けるようにします。

注意事項
ランニングやトレーニングの強度や量を急に増やすと、再発のリスクが高まります。徐々にトレーニングの量や強度を上げることを心掛けましょう。

シンスプリントの予防

シンスプリントは捻挫や骨折のような瞬間的に受傷するケガではなく、時間をかけて徐々に進行するため、治療や予防には継続的な取り組みが必要です。予防策としては以下を推奨します。

 

筋肉のケア:下腿の前面と後面の筋肉群への静的ストレッチやマッサージ、アイシングを行う。筋肉の疲労を速やかに取り、柔軟性を保ち、炎症を予防します。

 

適切な装具の選択:衝撃吸収ができるシューズや、アライメントの修正をサポートするインソールの使用は、足への負担を軽減します。

 

フォームの改善:正しい走行フォームや姿勢を保つことで、脚への過度なストレスを防ぐことができます。

 

これらの予防策は、即効性を期待するものではなく、日常の習慣として取り入れることで、長期的にシンスプリントのリスクを低減するものです。

参考文献

記事監修・ドクター紹介

毛利 晃大先生
毛利 晃大先生
順天堂大学医学部卒業、日本救急医学会専門医、日本整形外科学会会員 日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター