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ZAMST Online

2024.03.01

RICE処置とアイシング|早期回復のための応急処置

怪我をしたとき、速やかに適切な手当てをするか否かが、回復速度に大きく影響します。特に、怪我直後に行う「RICE(ライス)」という方法は、効果的な応急処置として知られています。本記事では、このRICE処置と、アイシングについて整理します。

RICE処置とは

RICE処置はどうやったらいい?

怪我をした初期段階では、RICE処置と呼ばれるアイシング方法が知られています。「RICE」は、安静(Rest)、冷却(Icing)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation)の各単語の頭文字をとったもので、応急処置のテクニックの一つで、ゲイブ・マーキン博士が1978年に発表した研究結果(the Sports Medicine Book)に基づきます。
怪我をすると腫れや痛みなどの炎症を起こしますが、そのままにしておくとダメージはさらに広がり、回復を遅らせることもあります。RICE処置ではこの炎症を抑制し、ダメージを最小限にとどめ、回復を早めることを目的としています。

 

※)現在では広く推奨されているRICE処置以外にも、様々な応急処置が提唱されていますが、いずれのメソッドも怪我の治癒に対するエビデンスについてはまだ議論が交わされている段階です。

Rest(安静) 受傷した患部を安静にします。例えば足首の場合は動かないように固定します。

 

Icing(冷却) 患部を冷やすことで、腫れや熱、痛みを和らげます。

 

Compression(圧迫) 適度に圧迫することで腫れの進行を抑え、痛みを軽減します。

 

Elevation(挙上) 患部を心臓より高く上げて、内出血を防ぎます。

アイシングの方法

アイシングの用意の仕方、作り方は?

氷を利用したアイスバッグ

氷を使った簡単なアイシング方法としては、ビニール袋に氷を入れる手法があります。患部の大きさに合わせて、適切なサイズのビニール袋を選ぶと良いでしょう。氷はビニール袋の半分程度入れ、袋の中の空気をしっかりと抜くことがポイントです。これにより、袋の表面が平らになり、氷が広い範囲で患部に接触します。アイスバッグを使用する際は、凍傷を防ぐために直接肌に当てず、タオルや弾性包帯を間に挟んで使用することがのぞましいです。

保冷剤を利用したアイスバッグ
市販の保冷剤を使ったアイシングも一つの方法です。硬くならないタイプの保冷剤が推奨されます。保冷剤を使用する際も、凍傷に注意が必要です。例えば、霜がついた保冷剤や、冷凍庫で長時間保管された0℃以下の保冷剤は、使用前にしばらく常温で放置します。アイシングには弾性包帯やアイシングラップを使って固定しますが、直接皮膚に当てるのではなく、タオルや弾性包帯で患部を覆ってから固定しましょう。

氷嚢(氷のう)
スポーツ用に作られた氷のうは丈夫で水漏れしにくいタイプが用意されています。氷嚢には細かい氷を入れ空気を抜きます。溶けた氷がもれないように、しっかり蓋をします。体中どこでも冷やすことができ、移動中でも気軽に使えます。また氷嚢と固定用サポーターが一体となったタイプもあります。

コールドスプレー
瞬間的に冷やすことで痛みをまぎらわせます。但しコールドスプレーの場合には深部の組織への冷却効果は期待できません。凍傷を起こす場合があるので説明書をよく読んで使いましょう。

アイシングはどのくらいの期間が適当か?

怪我をした直後の応急処置としてRICE処置を行った後、特にアイシングについては、スポーツによる怪我が発生した後数日は断続的に(一回あたり約10~15分)行うと良いとされます。

アイシングの注意点は?

アイシングはRICE処置に代表される応急処置以外にも疲労回復目的でも使用されます。ただし、以下のようなリスクには注意しましょう。

 

①過敏症への対応
寒さに対する過敏症がある場合、アイシングは避けたほうが良いでしょう。この過敏症には、寒冷じんましんやチアノーゼ(皮膚が青紫色に変色する状態)などが含まれます。

 

②凍傷リスク
氷や保冷材が霜で覆われている場合は、使用前に常温でしばらく放置して表面が溶けるのを待つことが大切です。また、アイシングを長時間行うと凍傷のリスクがあります。

 

③体温の低下に注意
広範囲にわたるアイシングや長時間のアイシングは、体温低下に繋がる可能性があるので注意が必要です。特に、冬季や雨天など体温が奪われやすい状況では、さらに慎重な対応が求められます。

アイシングのバリエーション

足首捻挫のアイシング

以下の流れを3~5回繰り返し、アイシングで終わることで早期回復を目指します。

 

STEP.1 足首を90度に保ちながらアイシング。

 

STEP.2 20分ほど冷やして、感覚がなくなったら、ゆっくり立って少しずつ歩く。このとき体重をかけると痛む場合は無理に立たないようにしましょう。

 

STEP.3 歩いているうちに痛みが出てくるなら、再びアイシング(10~15分)。

太もも打撲のアイシング

筋肉が炎症を起こし、機能障害が発生することを防ぎます。

 

STEP.1 太ももの打撲した部分をアイシング。

 

STEP.2 20~30分後、感覚がなくなってきたら、痛みのない範囲でストレッチを行う。

 

STEP.3 その後も、ストレッチした状態でアイシングを続ける。

RICE処置はあくまで応急処置です。痛みや炎症が改善しない場合、徐々に悪化する場合、重症や骨折時には速やかに医療機関に行きましょう。

参考文献

  • 『SPORTS MEDICINE LIBRARY』ZAMST
  • 『対策ハンドブック 効果的なアイシング』ZAMST
  • 医療情報科学研究所 『病気がみえるvol.11 運動器・整形外科』メディックメディア
  • The Sports Medicine Book Gabe Mirkin(1978) “the Sports Medicine Book”

記事監修・ドクター紹介

毛利 晃大先生
毛利 晃大先生
順天堂大学医学部卒業、日本救急医学会専門医、日本整形外科学会会員 日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター