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ZAMST Online

2025.06.02

腰にやさしい身体をつくる|競技者のための腰痛予防ストレッチ

腰痛は、あらゆる競技で多くの選手が悩まされている慢性化しやすい問題のひとつ。原因が必ずしも腰そのものにあるとは限らず、太ももや股関節まわりの柔軟性の低下が骨盤の動きを妨げ、腰に過剰な負担をかけているケースも多く見られます。

 

本記事では、太もも前面・裏側・内側、腰部、そしてFasciaへのアプローチ(SMR)まで、腰痛の予防に効果的な5つのストレッチとセルフケア法をご紹介します。いずれも特別な道具は不要で、競技前後のコンディショニングや日常のケアとして手軽に取り入れられるものばかり。腰に不安を抱えるアスリートはもちろん、健康維持を目指す一般の方にもおすすめの内容です。

 

※Fascia(ファシア)とは筋肉を含む、骨、内臓、神経などの様々な組織を包んで保護する薄い結合組織のことを言います。

太もも前側を伸ばすストレッチ

腰痛の原因のひとつに、太ももの前面にある大腿四頭筋の硬さが挙げられます。この筋肉は膝関節を伸ばす働きをしており、また、姿勢を保つうえで重要な役割を果たします。しかし、座りっぱなしの時間が長かったり、運動不足だったりすると大腿四頭筋が縮こまり、骨盤が前に引っ張られて腰に負担がかかってしまいます(これが反り腰につながることも)。このストレッチで太もも前面をほぐすことで、骨盤の位置が整い、腰への負担軽減が期待できます。

ストレッチのやり方

1. 片足を曲げて座る

両足を前に伸ばして座り、片方の足だけヒザを折り曲げて体の横に添えます(下図1)。両手は体の後ろで床につき、上体を支えます。

 

2. ゆっくり上体を後ろに倒す

背中をゆっくりと床の方へ倒していきます。太ももの前側が伸びているのを感じたら、その姿勢で20秒キープしましょう。柔軟性がある方は背中を床につけても構いませんが、無理せずヒジや手で支えながら伸ばす範囲を調整してください。

ハムストリングスを伸ばす太もも裏のストレッチ

太ももの裏にあるハムストリングス(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)は、骨盤と腰椎の動きに大きく関わる重要な筋肉です。この筋群が硬くなると骨盤が後傾しやすくなり、姿勢が崩れて腰への負担が増してしまいます。ストレッチで柔軟性を保つことで、股関節の可動域が広がり、骨盤の安定や腰痛の予防につながることが期待できます。

ストレッチのやり方

1. 片足を内側に曲げて座る

床に座り、片足は前に伸ばし、もう片方の足の裏を内側に曲げて、反対側の太ももの付け根あたりに当てます。

 

2. 上体を前へゆっくり倒す

伸ばした足の太ももに両手を添え、背すじを伸ばしたまま上体を前へ倒していきます。太ももの裏側が心地よく伸びていると感じたところで20秒キープしましょう。無理に足先に触れようとせず、呼吸を意識しながらリラックスして行うのがポイントです。
左右両方とも、同じように丁寧に行ってください。

内転筋群を伸ばす太もも内側のストレッチ

太ももの内側にある内転筋群(ないてんきんぐん)は、骨盤の安定や股関節の動きに深く関わる筋肉です。ここが硬くなると骨盤の動きが制限され、腰に余計な負担がかかることで腰痛を引き起こす原因になることもあります。両手、両ヒザを床につけた状態で四つん這いになり、お尻を落としていくことで内転筋群をリラックスさせましょう。

ストレッチのやり方

1. 四つん這いになり両手両ヒザを床につける

両手と両ヒザを床につけて四つん這いになります。このとき、手と足は肩幅より少し広めに開いておきましょう。

 

2. お尻を落として太もも内側をストレッチ

お尻をゆっくりと後方へ引き、太ももの内側がじわっと伸びるのを感じたら、その位置でキープします。胸を張り、背すじを伸ばしたまま行うと効果的です。

脊柱起立筋群(せきちゅうきりつきんぐん)をリラックスさせる腰のストレッチ

長時間のデスクワークや前かがみの姿勢が続くと、背骨に沿って走る脊柱起立筋群(せきちゅうきりつきんぐん)が緊張しやすくなり、腰の張りや痛みの原因になります。このストレッチでは、腰椎の下にクッションを入れて体をあずけ、自然に背中を伸ばすことで、緊張した筋肉をリラックスさせることができます。

ストレッチのやり方

仰向けになり、腰椎(ようつい)のあたりにクッションや丸めたタオルをあてます。目安はウエストのくびれ部分(骨盤の上端付近)となります。(右図)

 

両手を頭の上にゆっくり伸ばし、全身を脱力させるように意識します。深呼吸をしながら30秒ほどキープし、腰まわりがじんわりとゆるんでいくのを感じましょう。寝たままできる簡単なストレッチなので、就寝前や仕事の合間にもおすすめです。

ストレッチ用ポールを使った太もも外側のSMR

SMR(セルフ・マイオファッシャル・リリース)は、ストレッチ用ポールやマッサージボールなどを使って、Fascia(ファシア)の緊張をほぐし、筋肉の滑りをよくするセルフケアのひとつです。丸めたヨガマットなどで代用でもいいでしょう。この動きでは、太ももの前と後ろの境目にあたる外側部(外側広筋付近)にアプローチすることで、股関節の動きがスムーズになり、下半身からくる腰への負担も軽減されやすくなります。

ストレッチのやり方

床に横向きに寝て、太ももの外側がポールの上にくるようにセットします。もう一方の足と両手でバランスをとりましょう。股関節からヒザの少し上あたりまで、太ももの外側をポールに沿ってゆっくりと動かします。痛みを感じない程度の圧で行い、リラックスした呼吸を心がけてください。
しっかりほぐれると、足が軽くなり、腰まわりまでスッキリ感じられることがあります。左右とも同じように行いましょう。

 

強く刺激すると筋肉にダメージを与える恐れがあるので、痛みが感じるときは注意が必要です。

記事監修・トレーナー

遠山 健太さん
ワシントン州立大学教育学部小等学科卒業。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科修了。株式会社ウィンゲート代表取締役。全日本モーグルチームのトレーナーとして、トップアスリートのトレーニング指導に携わってきた一方で、子どもの運動教室「ウィンゲートキッズ」のプログラムを開発するなど、子どもの体力向上についての研究も行っている。家族体力測定イベント「マイスポ」で第11回健康寿命をのばそう!アワード(生活習慣病予防分野)の企業部門において、スポーツ庁長官優秀賞を受賞。著書に、『るるぶKids こどもの運動能力がぐんぐん伸びる公園 東京版』(JTBパブリッシング)、『コツがつかめる! 体育ずかん』(ほるぷ出版)などがある。