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アキレス腱のストレッチ6選|柔軟性を高めて動きやすい足元とパフォーマンスを引き出す

アキレス腱は、ふくらはぎの腓腹筋・ヒラメ筋と踵骨をつなぐ人体で最も太い腱であり、歩く・走る・ジャンプするといった動作のたびに大きな負荷がかかる部位です。アキレス腱まわりが硬くなると足首の動きが制限され、地面をしっかり蹴り出す動作や着地の衝撃吸収がスムーズに行えなくなります。柔軟性を保つことは、足元の動きやすさやスポーツ時のパフォーマンスを引き出すうえで欠かせない要素です。
 
そこで取り入れたいのが、アキレス腱へ異なる方向から刺激を入れられるストレッチです。動きの中で下半身全体と一緒に伸ばす方法、深層のヒラメ筋までじっくり伸ばす方法、段差を使って自体重で腱を引き伸ばす方法などを組み合わせることで、アキレス腱まわり全体へ段階的にアプローチしやすくなります。なお、一般的には動的ストレッチは運動前のウォーミングアップに、静的ストレッチは運動後のクールダウンに取り入れるとよいとされています。
 
ここでは、アキレス腱の柔軟性を高めるためのストレッチを6種目ご紹介します。

1. 歩きながらつま先上げストレッチ(ウォーキング・カーフ・スウィープス)

歩きながら前脚のつま先を上げ、上半身を前に倒していくこの動きは、アキレス腱からハムストリングス(太ももの裏)まで、下半身の後ろ側全体を動きの中で伸ばしていく動的ストレッチです。関節を動かしながら行う動的ストレッチには、筋肉への血流を促したり、可動域を広げたりする働きがあると言われており、運動前のウォーミングアップに適した方法として知られています。

 

1. 一歩前に足を出し、踵を地面につけてつま先を上に向ける

前脚のヒザは真っ直ぐに伸ばした状態をつくります。

2. お尻を後ろに引きながら、両手で上半身を倒す

地面のゴミをすくい上げるようなイメージで、両手を前脚の足元に向かって下ろしていきます。

3. 4. 太ももの裏とふくらはぎに伸びを感じたら、ゆっくり元に戻す

反動を使わず、コントロールしながら上半身を起こします。

5. 6. 歩きながら左右交互に繰り返す

前進しながら、一歩ごとに左右の脚を入れ替えて動作を続けます。
左右10歩ずつを目安に実施します。

2. 壁押し踵上下ストレッチ(ウォール・カーフ・パンプス)

壁を使って行ういわゆる「アキレス腱伸ばし」の姿勢をベースに、止まらずに踵を上下させる動的ストレッチです。ふくらはぎの収縮と伸張を繰り返す動きで、アキレス腱まわりを動かしていく方法として、運動前のウォーミングアップに取り入れやすい種目です。

 

壁に両手を突き、片足を後ろに大きく引いた姿勢をつくります。後ろ足の踵を床から浮かせてふくらはぎを収縮させ、続いてゆっくりと踵を床に押し付け、アキレス腱が伸びる感覚を意識します。この上下運動を15〜20回繰り返し、反対側も同様に実施します。

3. ヒザ曲げアキレス腱伸ばし(ベントニー・ウォール・ストレッチ)

壁に手を突いた「アキレス腱伸ばし」の姿勢から、後ろ足のヒザを軽く曲げて行うストレッチです。ふくらはぎの筋肉のうち、表層にある腓腹筋はヒザ関節と足関節の両方をまたぐため、ヒザを伸ばした状態でよく伸びます。
 

一方、深層にあるヒラメ筋は足関節のみをまたぐため、ヒザを曲げたほうが伸びやすいと言われています。ヒザを曲げて行うことで、通常の「アキレス腱伸ばし」では伸ばしにくいヒラメ筋に働きかける方法として用いられています。

 

壁に両手を突き、片足を後ろに引いてアキレス腱伸ばしの基本姿勢をつくります。踵を床につけたまま後ろ足のヒザを軽く曲げ、重心を少し下に落とすことで、ふくらはぎの深い位置に伸びを感じる位置で30秒間キープします。反対側も同様に行い、左右それぞれ30秒ずつ、2セット実施します。

4. 段差踵落としストレッチ(ステア・ヒール・ドロップス)

段差に足の前半分だけを乗せ、自体重を使ってゆっくりと踵を沈めていくストレッチです。この動きは、筋肉が伸ばされながら力を発揮する「エキセントリック収縮」をアキレス腱まわりに起こすもので、Alfredson法と呼ばれる踵落とし運動は、アキレス腱症(腱の慢性的な痛み)に対するリハビリテーションの方法として研究報告があります。ヒザを伸ばして行うと腓腹筋、ヒザを少し曲げて行うとヒラメ筋に刺激が入りやすくなるとされています。

 

1. 段差に足の前半分を乗せて立つ

階段や踏み台などの段差に、母指球あたりまでが乗るように両足を置きます。手すりや壁に手を添えてバランスを取ります。

2. ゆっくりと踵を段差より下に沈める

3〜5秒ほどかけて、踵を段差の高さよりも下へ下ろしていきます。ふくらはぎからアキレス腱にかけて、じっくり伸びる感覚を意識します。

3. ゆっくりと元の位置に戻る

踵を持ち上げ、段差と同じ高さに戻します。
10回を1セットとして、2セット行います。物足りない場合は、ヒザを軽く曲げたパターンも同様に10回×2セット実施します。

5. つま先壁立てストレッチ(トゥーアップ・ウォール・ストレッチ)

片足のつま先を壁に立てかけ、踵を床につけたまま体を壁に近づけていくストレッチです。足の裏にある足底腱膜(足底筋膜)は踵骨を介してアキレス腱と解剖学的につながっており、ふくらはぎが硬くなると足底腱膜(足底筋膜)にも張力がかかりやすくなることが知られています。足の裏からアキレス腱、ふくらはぎまでを連動させて伸ばすこのストレッチは、足底腱膜炎(足底筋膜炎)のケアとしてアキレス腱やふくらはぎのストレッチと併せて紹介されることの多い方法です。
 

壁の前に立ち、踵を床につけたまま片足のつま先をできるだけ高い位置で壁に立てかけます。つま先の位置を保ったまま、ヒザと上体をゆっくり壁の方向へ寄せていき、足の裏からふくらはぎにかけて伸びを感じる位置で30秒間キープします。反対側も同様に行い、左右それぞれ30秒ずつ、2セット実施します。

6. 足首回しストレッチ

台の上に片脚を乗せ、足首に角度がついた状態でヒザを大きく回すストレッチです。足首まわりやすねを覆っている筋肉をリラックスさせる方法として、アキレス腱へのアプローチの仕上げに取り入れやすい種目です。

 

1. 足首に角度をつけたスタートポジションをつくる

5cm程度の高さがある台に片ヒザを立てて足を乗せ、逆の足のヒザは床につけます。

2. ヒザを体の内側に倒す

ヒザを回すようにして体の内側に向かって倒し、足の外側を伸ばします。このとき、上体は動かさないようにします。

3. 足首に角度をつけ、ヒザを前に押し出す

ヒザを前方へ倒し、足首からふくらはぎにかけて伸ばします。

4. ヒザを体の外側に倒す

ヒザを回すようにして体の外側に向かって倒し、足の内側を伸ばします。
時計回り30秒、反時計回り30秒を行い、その後、反対側の足でも同様に実施します。

アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉と踵骨をつなぐ腱であり、歩行・走行・跳躍といった動作に深く関わる部位です。今回紹介したように、動きの中で下半身の後ろ側を伸ばす方法、深層のヒラメ筋まで伸ばす方法、自体重で腱を引き伸ばす方法、足の裏からふくらはぎまでを連動させて伸ばす方法、足首を回して周辺の筋肉をゆるめる方法など、それぞれ異なる形でアキレス腱にアプローチすることができます。目的や状態に応じて取り入れることで、動きやすい足元づくりやパフォーマンスを引き出す準備として、アキレス腱への働きかけ方を選択することができます。

※本記事は、スポーツや日常生活における身体のコンディショニングに関する一般的な情報提供を目的としたものです。記載されている内容は、特定の症状や状態に対する効果を保証するものではありません。症状が続く場合や気になる点がある場合は、医療機関にご相談ください。

記事監修・トレーナー

遠山 健太さん
ワシントン州立大学教育学部小等学科卒業。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科修了。株式会社ウィンゲート代表取締役。全日本モーグルチームのトレーナーとして、トップアスリートのトレーニング指導に携わってきた一方で、子どもの運動教室「ウィンゲートキッズ」のプログラムを開発するなど、子どもの体力向上についての研究も行っている。家族体力測定イベント「マイスポ」で第11回健康寿命をのばそう!アワード(生活習慣病予防分野)の企業部門において、スポーツ庁長官優秀賞を受賞。著書に、『るるぶKids こどもの運動能力がぐんぐん伸びる公園 東京版』(JTBパブリッシング)、『コツがつかめる! 体育ずかん』(ほるぷ出版)などがある。