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腱鞘炎・ドケルバン病|手首の親指側の痛みを感じたら

テニス、バドミントン、卓球のようなラケットスポーツ選手、そしてゴルファーの間で頻繁に見られるトラブルの一つに、手の腱鞘炎があります。手首の過度な動作が原因で、痛みや腫れが手首に現れます。この記事では、特に女性において多発するとされる腱鞘炎の詳細について説明します。

腱鞘炎とは

腱鞘炎における「腱鞘」とは?

腱は、骨と筋肉を繋いでおり、筋力を伝達することで骨の安定的な動きを補助するコラーゲン線維でできた組織です。手首の腱の一部は、腱鞘というトンネル状の組織で守られています。この腱鞘は滑液という潤滑液で満たされており、腱が滑らかに動くのをサポートしています。

腱鞘炎とは?

腱鞘炎は、手指を繰り返し使うことにより、腱を取り巻く腱鞘が炎症を起こす病状です。炎症が生じた部分では痛みが生じます。また腫れることもあるため、動かすのが難しくなることもあります。

 

腱鞘炎の中でもスポーツ選手に多いのがドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)で、手首の親指側の腱鞘炎です。ドケルバン病は運動時に親指の痛みがあります。

腱鞘炎の原因とは?

腱鞘炎は、感染性原因と非感染性原因に分けることができます。非感染性の腱鞘炎の主な原因はオーバーユースです。繰り返し行われる動作は、腱の炎症を引き起こし、それが腱鞘炎のリスクを上げます。

 

特にドケルバン病の場合、親指のオーバーユースによる摩擦で炎症が進行します。腱を覆っている腱鞘が肥厚することや、腱が傷んでしまうことで症状が悪化します。バドミントン、テニスといったラケット競技やゴルフなどのクラブを使うスポーツでの発症が多いのはこのためです。そして、スポーツだけでなく、PCやスマートフォンでの頻繁な文字入力や、子供をたびたび持ち上げて運ぶ行為など、親指を伸ばして他の指とは別の動きを繰り返すことが原因となることもあります。

 

なお、妊娠時、産後、更年期の女性は親指のオーバーユースに関係なく発症することが多いと言われています。

腱鞘炎の症状

手の腱鞘炎は、手関節の親指側に運動時痛、圧痛(強く押した時に痛みを感じる)、腫脹がみられます。痛みは親指と手首の動きによって悪化します。悪化するとスポーツを実施していない時でも、タオルを絞ったり、瓶の蓋を開けたりといった動作でも生じる場合があります。

腱鞘炎かどうかを確かめる方法は?

腱鞘炎の診断には、「疼痛誘発テスト」という方法が存在します。スポーツで生じやすいドケルバン病の場合、Eichhoff(アイヒホッフ)テストなどが簡単に試せる方法の一つです。

 

このテストでは、親指を中に折り曲げて手を握る動作を行い、その後手関節を内転(小指側に向けて曲げる)させます。この時に、手首の親指側で痛みを感じる場合、ドケルバン病の可能性が考えられます。

腱鞘炎の治療とリコンディショニング

腱鞘炎の治し方は

腱鞘炎の治療においては、最初のステップとして保存療法が選択されます。 そのため、患部を安静に保つことが大切です。サポーターなどの装具を当てて固定することもあります。 症状が軽ければ、患部をしっかりと静止させることで、自然に治まる可能性もあります。

 

症状が続く場合は、医師の診断のもと、痛みの軽減や早期の改善を目的として、ステロイドを腱鞘内に注射する治療が考えられます。さらに、超音波治療器を使用して痛みを和らげる方法も選択肢としてあります。

 

症状が特に重い場合、保存療法だけでは効果が得られない場合があり、その際には手術が必要となることも考えられます。

スポーツ時の手首ケアと予防

正しい方法と道具の選び方:体に合ったフォームや道具を選びましょう。例えばテニスであれば不適切な技術や重すぎるラケット、強すぎるガットの張りは避けましょう。

練習の適切な量:オーバーユースは避け、練習中は適度に休憩を取ることが大切です。手首やヒジに痛みを感じたら、数日間練習を休むことを考慮しましょう。
注意: 症状が悪化した場合は直ちに活動を中止し、医師の診察を受けてください。

効果的なクールダウン:運動後はストレッチを行い、体をクールダウンしましょう。アイシングも効果的です。これにより、筋肉痛の予防や疲労の蓄積を抑えることができます。

サポーターの利用:サポーターを使うことで、プレー中の筋肉や腱の負担を減少させることが期待できます。
ストレッチの重要性:予防として、運動前には十分なストレッチを行いましょう。手首のストレッチで症状が緩和されることもあります。

参考文献

  • 『SPORTS MEDICINE LIBRARY』ZAMST
  • 『コラム:スポーツ時の手首のケア』ZAMST
    https://www.zamst-online.jp/hpgen/HPB/entries/84.html
  • 医療情報科学研究所 『病気がみえるvol.11 運動器・整形外科』メディックメディア
  • Cologne, Germany: Institute for Quality and Efficiency in Health Care (IQWiG); 2006-. Tenosynovitis: Overview. 2018 Jul 26.
  • Cologne, Germany: Institute for Quality and Efficiency in Health Care (IQWiG); 2006-. How can tenosynovitis be treated? 2018 Jul 26.

記事監修・ドクター紹介

毛利 晃大先生
毛利 晃大先生
順天堂大学医学部卒業、日本救急医学会専門医、日本整形外科学会会員 日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター