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腸脛靭帯とは|どこにある?太ももの外側を走る帯の構造と役割

太ももの外側には、骨盤から膝の下まで、縦に長く続く丈夫な帯があります。これが腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)です。おしりや太ももの付け根の筋肉とつながり、股関節と膝の外側のはたらきに関わっています。
この記事では、腸脛靭帯がどこにあり、何とつながっているのか、どのような役割なのかをご紹介し、最後に腸脛靭帯に関わる主な症状に触れます。

腸脛靭帯とは|太ももを包む筋膜の一部

太ももの外側から見た腸脛靭帯の全体像の模式図
腸脛靭帯は、骨盤の骨である腸骨(ちょうこつ)から太ももの外側を下り、膝の下にあるすねの骨、脛骨(けいこつ)の外側の出っ張りに付く、長い帯状の組織です。この出っ張りはガーディ結節と呼ばれます。

腸脛「靭帯」と呼ばれますが、骨と骨を結ぶ一般的な靭帯とは成り立ちが違います。腸脛靭帯は、太もも全体を包む大腿筋膜(だいたいきんまく)のうち、外側が厚くなった部分です。 解剖にもとづく研究によると、腸脛靭帯ははっきりした縁をもつ独立した帯としては取り出せず、太ももを包む筋膜とひと続きになっていることが示されています。

腸脛靭帯と大腿筋膜張筋・大殿筋のつながり

腸脛靭帯の上のほうには、2つの筋肉がつながっています。太ももの付け根の外側前寄りにある大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)と、おしりの大きな筋肉である大殿筋(だいでんきん)です。大腿筋膜張筋はそのすべてが腸脛靭帯に付き、大殿筋は上の部分が腸脛靭帯に、下の部分が太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)に付いています。
 
大腿筋膜張筋は前上方へ、大殿筋は後方へ、腸脛靭帯を引きます。腸脛靭帯は、この2つの筋肉の力を受けとめて、股関節と膝へ伝えています。

腸脛靭帯と、その周辺の筋肉・骨の位置、および股関節や脚の運動を説明した図

腸脛靭帯はどこに付く?膝の外側での付着部

腸脛靭帯は、膝の外側を通って脛骨のガーディ結節に付きます。ただし、付いているのはここだけではありません。膝のすぐ上では、大腿骨の外側の出っ張りである外側上顆(がいそくじょうか)のあたりに、丈夫な線維の束でしっかり固定されています。この線維の束は、骨の表面を覆う膜を貫いて、骨そのものに付いています。
 
この固定を境に、腸脛靭帯は上の「腱のような部分」と、下の「靭帯のような部分」に分けて考えることができます。膝関節をまたいでいるのは、下の靭帯のような部分だけです。
 
腸脛靭帯と大腿骨の間には脂肪の層があり、細い血管や神経が多く通っています。また前のほうでは、膝のお皿である膝蓋骨(しつがいこつ)の外側へつながる線維もあります。

腸脛靭帯の役割|股関節と膝の外側を支える

筋肉の力を受けて、股関節の動きと安定に関わる

腸脛靭帯は筋肉ではありません。股関節の動きを生み出すのは、腸脛靭帯につながる大腿筋膜張筋と大殿筋です。これらの筋肉の力が腸脛靭帯を通して伝わり、脚を後ろへ引く、外へ開く、外側へひねる、といった股関節の動きに関わります。歩いたり走ったりするときには、骨盤と股関節を横から支える支柱のような役割も考えられています。

膝の外側を支える

腸脛靭帯は、膝の外側にある外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)などとともに、膝を外側から支えています。

膝の曲げ伸ばしと腸脛靭帯の位置

膝を曲げ伸ばしすると、腸脛靭帯が大腿骨の外側の出っ張りの上を前後にすべる、と説明されることがあります。
 
一方、解剖では、腸脛靭帯が膝のすぐ上で大腿骨に線維の束でしっかり固定されていることが確かめられています。また、膝を伸ばした状態と30度曲げた状態をMRIで比べると、膝を伸ばしたときには腸脛靭帯が外側の出っ張りから離れ、30度ほど曲げたときには出っ張りに押し付けられていました。
 
こうした結果から、腸脛靭帯は前後に大きくすべるのではなく、膝の角度につれて張る線維が前から後ろへ移っていくために、前後に動いて見えるのではないかと考えられています。ただし、これは解剖と、決まった角度での画像や体表の観察にもとづく解釈で、歩いたり走ったりしている最中の動きを直接測ったものではありません。

走るときは、ばねのように力をためて返す可能性

脚の構造を再現したモデルで計算した研究では、走るときに大腿筋膜張筋と大殿筋の力で腸脛靭帯が引き伸ばされ、ばねのように力をためて返す可能性が示されています。

腸脛靭帯に関わる主な症状

腸脛靭帯に関わる代表的な症状を2つご紹介します。

腸脛靭帯炎(ランナー膝)

脛靭帯炎(ランナー膝)が起こる仕組みを説明した図
膝の外側、大腿骨の外側の出っ張りからガーディ結節にかけて痛む障害です。長距離のランナーや自転車の競技者に多く、走る距離や練習量を増やしたときに起こりやすいとされています。はじめは運動の終わりに痛み、進むと運動の始めや安静時にも痛むことがあります。くわしくは「ランナー膝(腸脛靱帯炎)編」をご覧ください。

外側型弾発股(がいそくがただんぱつこ)

股関節を曲げる、脚を内側へ寄せる、内側へひねる、といった動きのときに、腸脛靭帯の後ろの部分などが、太ももの付け根の外側の出っ張りである大転子(だいてんし)に引っかかるものです。弾発股(だんぱつこ)と呼ばれ、「パチン」とはじけるような感覚があります。痛みはほとんどないことも多いとされています。
 
膝の外側や太ももの外側の痛みには、ほかの原因も考えられます。痛みが続く場合、整形外科で診てもらってください。

まとめ|腸脛靭帯は、おしりの筋肉と膝をつなぐ「太もも外側の帯」

腸脛靭帯は、太ももを包む筋膜の外側が厚くなった帯です。上では大腿筋膜張筋と大殿筋の力を受け、下では膝のすぐ上の大腿骨と、すねの骨の両方に付いています。おしりの筋肉の力を膝の外側まで届けながら、股関節と膝を外側から支える。それが腸脛靭帯の役割です。

本記事の情報の取り扱いについて

本記事は、医学文献に基づいて一般的な情報をまとめたものであり、個々の症状に対する診断や治療を示すものではありません。膝や太ももの外側の痛みが続く場合は、自己判断をせず、整形外科など医療機関にご相談ください。

参考文献

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記事監修・整形外科医

毛利 晃大先生
毛利 晃大先生
順天堂大学医学部卒業、日本整形外科学会会員 日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター