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腰椎分離症・分離すべり症|成長期のスポーツ選手における腰痛

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腰椎分離症・分離すべり症|成長期のスポーツ選手における腰痛

腰椎分離症はスポーツによるオーバーユース(使いすぎ)等によって起こる腰痛で、腰椎という骨の亀裂により生じます。この症状が進行すると、分離すべり症を引き起こすことがあります。腰椎分離症・分離すべり症は特に成長期のスポーツ選手に多く見られ、腰痛の原因の30~40%を占めているとされています。

腰の骨の構造

体を前に曲げる、後ろへ反る、横にねじるなどの動きを生み出す腰。特にスポーツ時には大きな負担がかかり、怪我や痛みの発生率が高い部位です。腰は5個の骨が積み重なった腰椎と骨盤からつくられています。腰椎は三角形の形をした仙骨の上に乗っています。

腰椎分離症・分離すべり症とは

腰椎分離症とは

腰椎分離症は、腰椎の椎骨が関節突起間部で分離する(多くは疲労骨折による)症状です。時に脊椎分離症とも呼ばれますが、その多くは腰椎において発生します。この状態は、スポーツにおける繰り返しの動作によって椎弓と呼ばれる部分が疲労骨折を起こすことで生じ、成長期の選手における過度のトレーニングが原因であることが多いとされています。特に野球、バレーボール、バスケットボール、サッカー、柔道、ラグビー、ウエイトリフティングなど、頻回に体幹の前後屈、回旋を行うスポーツに多く見られます。なお、遺伝的な要因により先天的に腰椎が弱い場合にも発生することがあります。

分離すべり症とは

分離すべり症は、椎骨が分離したことに加え、骨折部が不安定な状態になり、椎骨が前方に転位したものです。

腰椎分離症・分離すべり症の症状

腰椎分離症・分離すべり症はどんな痛み?

腰椎分離症の主な症状には腰痛があり、背を反らす動作で痛みが増すことが多くなります(時には前屈みの姿勢でも同様です)。分離すべり症の場合、神経根の圧迫により下肢や臀部に痛みを感じることがあります。この痛みは片側だけでなく、両側で生じることもあります。症状は運動中だけでなく、長時間立つ・座る、中腰の姿勢をとる際にも発生しやすくなります。

※椎間板ヘルニアの場合は坐骨神経痛などの鋭い痛みが特徴で、片側下肢に知覚障害や運動麻痺が生じやすくなります。

治療、予防とリコンディショニング

治療

  • 一般的には保存療法から始めることが多くなります。痛みの軽減を目的とする場合は1~3ヵ月の期間が必要でしょう。骨癒合を期待して行う治療では6~12ヵ月の期間が見込まれます。腰に負担のかかるスポーツ活動は、この間3~6ヵ月は休止することが推奨されます。
  • 痛みを和らげるためには、温熱ホットパックや低周波、干渉波などの物理療法や、消炎鎮痛剤を使います。また、腰を守るためには幅広い腰サポーターが役立ちます。安静にしていて痛みが少なくなったら、体を伸ばすストレッチや腹筋、背筋のトレーニングなど、基本的な運動を始めるといいでしょう。
  • 手術は、保存療法では改善しない長期にわたる痛みがある場合や、これからも長くスポーツを続けたい人に適しています。特に、骨の分離部が不安定な場合には、分離部を修復する手術や骨移植、脊椎を固定する手術を行うこともあります。

予防

腰への負担を減らすためには、体幹や股関節周りの筋肉の柔軟性を保ち、動きの範囲を広げること、そして体幹の筋力を強化することが大切です。特に、股関節の動きが制限されると、その分の動きを腰で補うことになり、これが腰椎分離症の原因の一つになり得るので注意が必要です。

なお、成長期に分離すべり症になると、将来的に腰痛や神経痛の問題を抱える可能性があります。ですから、疲労骨折の初期段階で発見することがとても重要です。ただし、腰椎の疲労骨折の段階では、我慢すれば運動を行える程度の痛みであることから発見が遅れがちです。少しでも腰に痛みがあれば早めに診断を受けましょう。

リコンディショニング

急性期:急性期における痛みや筋肉の過緊張などの症状が強い時は、物理療法やストレッチングを使って症状を和らげる努力が必要です。この急性期には、アイシング(冷やす治療)が効果的です。症状が落ち着いて慢性期に入ったら、ホットパックのような温熱療法を使うとよいでしょう。

ストレッチングに関しては、腰背部、お尻、太もも(大腿四頭筋、ハムストリングス)の筋肉を伸ばします。これらの動作を行う際には、股関節を伸ばしすぎたり、腰椎前弯が強くなりすぎたりしないよう注意することが大切です。これにより、痛みの誘発を防ぐことができます。

腰背部のストレッチング

臀部のストレッチング

大腿四頭筋・腸腰筋のストレッチ

ハムストリングスのストレッチング

症状が落ち着いてきたら:症状が改善してきたら、次のステップに移ります。腰椎分離症の原因の一つに、体幹を後ろに反らす動作が、骨盤を後ろに傾ける動作や股関節を伸ばす動作なしに、腰椎だけで行われていることがあります。そこで、リハビリテーションでは、股関節を伸ばすストレッチと、骨盤を後ろに傾けるような腹筋トレーニングを行います。これにより、体幹を後ろに反らす時の腰椎への負担を軽減します。股関節のストレッチは、痛みを感じない範囲で徐々に進めていきます。

股関節のストレッチ

段階的に中間位から伸展位にしていきます。

腹筋のトレーニング

なお、腰椎分離症に限らず腰痛を抱える選手のコンディショニングでは、体幹や股関節周りの柔軟性を維持し、体幹の筋力を強化することが重要です。

参考文献

  • 『SPORTS MEDICINE LIBRARY』ZAMST
  • 『対策HANDBOOK 腰の痛み』ZAMST
  • 医療情報科学研究所 『病気がみえるvol.11 運動器・整形外科』メディックメディア

記事監修・ドクター紹介

毛利 晃大先

毛利 晃大先生

順天堂大学医学部卒業、日本救急医学会専門医、日本整形外科学会会員
日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター