テニスレッグ(腓腹筋内側頭(ひふくきんないそくとう)肉離れ)とは?|原因・症状・治療法
肉離れとは、ダッシュなどの動作中に筋肉が収縮している状態で急激に引き伸ばされ、その負荷によって筋線維が損傷する傷害の総称です。一般に「筋肉がはがれる」と表現されることもあり、医学的には筋断裂や筋膜損傷、筋損傷などと呼ばれます。主にスポーツ活動中に発症しやすく、スポーツ傷害の中でも頻度の高い症状の一つです。
この肉離れの代表的な例として、テニスでは「テニスレッグ」と呼ばれる、ふくらはぎの肉離れが知られています。テニスやダッシュ動作の最中に、ふくらはぎの内側へ突然強い痛みが走ることがあり、こうした症状はテニスレッグとして表れることがあります。
一見すると一般的なふくらはぎの肉離れと区別がつきにくいものの、テニスレッグでは損傷が起こる筋や部位に特徴があり、症状の表れ方や回復までの経過にも違いがみられます。なお、テニスに限らず、走る・踏み込むといった動作をきっかけに起こることもあり、日常的なスポーツ動作の中で発症するケースもみられます。この記事では、テニスレッグについて、その特徴を整理していきます。
テニスレッグとは
テニスレッグは、ふくらはぎを構成する腓腹筋のうち、内側頭、あるいは筋肉が腱へと移り変わる、ふくらはぎの内側・やや上方の部分に生じる損傷として報告されています。超音波検査やMRIによる観察でも、これらの部位に損傷が多くみられる傾向が示されています。
また、一般に「ふくらはぎの肉離れ」と呼ばれるものが、腓腹筋全体やヒラメ筋を含む広い概念であるのに対し、テニスレッグでは、痛みがふくらはぎの内側、やや上方に集中しやすく、圧痛点が比較的はっきりしている点が特徴です。
この損傷は、ダッシュの踏み出しや急な方向転換など、足首が背屈しながらヒザが伸びる動作で起こりやすいとされています。こうした場面では、腓腹筋内側頭が急激に引き伸ばされる状態となり、その負荷に耐えきれず損傷が生じます。
腓腹筋内側頭の特徴
腓腹筋は、ふくらはぎの表層に位置し、内側頭と外側頭の二つの筋腹から構成されています。両者は下方で合流し、アキレス腱を介して踵骨に付着します。
腓腹筋内側頭は、膝関節と足関節の両方の動きに関わる筋であるため、ヒザが伸びた状態で足首が急に動かされると、内側頭が強く引き伸ばされやすい特徴があります。その結果、内側頭の一部に負担がかかり、筋線維が耐えきれずに損傷が生じることが、テニスレッグの発症につながります。
発症のきっかけ・原因
テニスレッグは、静止状態からのダッシュや急な踏み込みなど、瞬間的に大きな力が加わる動作をきっかけに発症することが多いとされています。これらの動作では、腓腹筋内側頭が急に引き伸ばされる方向に力がかかり、その負荷に耐えきれず、筋線維や筋肉から腱へ移り変わる部分に損傷が生じます。
症状の特徴
受傷した瞬間に、ふくらはぎの内側に鋭い痛みを自覚するケースが多くみられます。痛みは突然現れ、「何かに当たったような感覚」や「蹴られたような感じ」と表現されることもあります。受傷後には、痛みのある部位を押した際の圧痛や、腫れがみられることがあります。また、歩行時や蹴り出し動作で痛みが強くなり、違和感が続く場合もあります。
似たケガとの違い
テニスレッグと混同されやすいものにアキレス腱断裂があります。いずれも動作中の突然の痛みを特徴としますが、テニスレッグでは痛みがふくらはぎの内側に集中しやすいのに対し、アキレス腱断裂では踵付近に強い痛みが出る傾向があります。またテニスレッグでは痛みは強いものの、歩行そのものは可能なケースが多い点も、アキレス腱断裂との違いとして挙げられます。
また、同じふくらはぎの肉離れでも、外側頭やヒラメ筋が損傷した場合には、痛みの位置や広がり方が異なります。テニスレッグでは、内側の一部分に痛みが出やすいのが特徴とされています。
治療の基本的な考え方
テニスレッグでは、多くの場合、手術を行わない保存療法で経過をみる対応がとられます。筋や筋肉から腱へ移り変わる部分の損傷として扱われ、手術が必要となるケースは限られています。回復の過程では、痛みや動きの回復状況を確認しながら、徐々に負荷を調整していく考え方が一般的です。
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回復までの目安とストレッチやリハビリ時の注意
回復に要する期間は損傷の程度によって異なり、軽い損傷では2〜4週間、中等度〜重度では3ヶ月程度かかる場合もあります。
またテニスレッグでは、回復の途中で無理に筋を伸ばしたり負荷をかけたりすると、痛みが再び出やすいことがあります。そのため、回復の進み具合に合わせて、筋にかける負荷を調整しながら進めることが重要です。
参考文献
- Delgado GJ, Chung CB, Lektrakul N, et al. Tennis leg: clinical US study of 141 patients. AJR Am J Roentgenol. 2002;178(6):1419–1424.
- Bianchi S, Martinoli C. Sonographic evaluation of tears of the medial head of the gastrocnemius (tennis leg). Skeletal Radiol. 1998;27(10):562–567.
- Pfirrmann CWA, Chung CB, Theumann NH, et al. MR imaging of calf muscle injuries. Radiology. 2002;224(1):201–209.
- 『対策HANDBOOK 足の痛み』ZAMST
記事監修・整形外科医

- 毛利 晃大先生
- 順天堂大学医学部卒業、日本救急医学会専門医、日本整形外科学会会員
日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター