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2026.09.07

腓骨筋腱障害とは|外くるぶしの後ろが痛む原因・症状と治療

外くるぶしの後ろから下にかけて痛む。ネンザのあと、腫れは引いたのに外側の痛みだけが残っている。足首を回すと引っかかる感じがしたり、音が鳴ったりする。そのどれかに心当たりがあるなら、外くるぶしの後ろを回っている腓骨筋腱(ひこつきんけん)という2本の腱が関わっているかもしれません。この腱の痛みは、ネンザと症状がよく似ているため、「ネンザが長引いているだけ」と思われたまま、原因にたどりつかないことがあります。
この記事では、腓骨筋腱障害の概要や症状、治療法や競技復帰に向けた考え方をご紹介します。

腓骨筋腱とは | 外くるぶしの後ろを通る2本の筋腱

すねの外側には、長腓骨筋(ちょうひこつきん)と短腓骨筋(たんひこつきん)という2つの筋肉があります。この2つの筋肉から続く腱は、どちらも外くるぶしの後ろを通り、向きを変えて足の外側へ回り込みます。外くるぶしのすぐ後ろには骨のくぼみがあり、腱はそこをすべるように通ります。そして、腱がくぼみから飛び出さないように、上からバンドのような組織が押さえています。これは上腓骨筋支帯(じょうひこつきんしたい)と呼ばれ、腱が本来の位置から外れないように支えています。
腓骨筋腱は、足の裏を外側へ向けたり、つま先を下げたりするときに働き、足首の外側を支えています。

腓骨筋腱障害は、この2本の腱に起こる問題をまとめた呼び方です。大きく分けると、腱そのものや腱を包む腱鞘(けんしょう)が傷むもの、腱が本来の位置から外れるもの、腱が裂けるものの3つです。足首を繰り返し使う競技をしている人と、足首を強くひねるけがをした人に起こりやすいです。

腓骨筋腱炎・脱臼・断裂の違い

腱症・腱鞘炎

腱そのものが傷んで厚くなる腱症(けんしょう)と、腱を包む腱鞘に炎症が起こる腱鞘炎(けんしょうえん)があります。どちらも、動くと痛みが強くなり、休むと痛みがやわらぐのが特徴です。腱の通り道に沿って腫れたり、押すと痛んだりします。ある日突然発症するというより、じわじわと症状が現れる傾向があります。

脱臼・亜脱臼

腱を押さえている上腓骨筋支帯が傷つき、腱が本来の位置からずれたり、外れたりするものです。足首をひねり、つま先をすね側へ反らした状態で腓骨筋に強い力が加わったときに起こることがあります。外くるぶしのあたりで音がしたり、引っかかるように感じたりする場合があります。

断裂

腓骨筋腱の断裂には、腱の通り道に沿って縦に裂けるタイプがあります。腫れや痛みが引かない、足首がぐらつく感じがする、外側に力が入りにくい。そうした訴えとして出てくることがあります。

足首の不安定さや足の形が関係することもある

腓骨筋腱の痛みは、腱だけの問題として起こるとはかぎりません。足首の外側がゆるくなっている人や、足の形に特徴がある人に、あわせて見つかることがあります。
足首の外側の不安定さが続いて手術を受けた方々を調べると、手術のときに腓骨筋腱やその周りにも傷みが見つかっています。手術が必要になった方々のケースのため、足首がゆるい方全員に当てはまるわけではありませんが、外側の痛みが長引くときは、腱と一緒に考える理由になります。
 
また、土踏まずが高く、かかとが内側に傾いた足の形が、長腓骨筋腱の腱障害がある人に多く見られたという報告もあります。ただし、この研究だけでは、足の形が腱障害の原因だとは言い切れません。
 
このほか、外くるぶしの後ろの骨の形や、筋肉のつき方といった、もともとの個人差が関わることもあります。
ですから、外くるぶしの後ろの痛みが長引くときは、腱そのものだけでなく、足首の安定性や足の形もあわせて診てもらう価値があります。

医療機関で行われる診察と画像検査

医療機関では、まず立った状態で足全体の形を見ます。そのうえで、腱の通り道に沿って腫れや押したときの痛みを確かめ、足首のジン帯がゆるんでいないかも調べます。
画像検査では、レントゲン、超音波、MRIが使われます。骨の形はレントゲンやCTで、腱そのものや周りの状態は超音波やMRIで確かめます。
 
ただし、画像検査について知っておきたい注意点があります。画像上に異常所見が認められても、それが痛みの原因とは限りません。足・足関節の専門施設を受診した、腓骨筋腱に関連する症状のない170名を対象に超音波で調べたところ、長腓骨筋腱では20%、短腓骨筋腱では12%に腱の変化が見つかりました。腓骨筋腱に症状がなくても、画像では筋腱の変化が認められることがあります。
 
反対に、画像に写りにくいこともあります。腱が縦に裂けているかどうかを見るとき、超音波のほうが見つけやすく、MRIでは見逃されることがある、という結果が出ています。MRIで異常を指摘されなかった場合でも、それだけで腱の断裂がないとは言い切れません。そのため、検査結果だけで判断するのではなく、痛みの特徴や診察の結果も合わせて原因を探っていきます。
 
足首の外側には似た症状を起こす疾患が多いため、自分だけで見分けるのは難しいです。痛みが長引いているなら、一度、整形外科で診てもらってください。

タイプによって異なる治療の流れ

腱症・腱鞘炎の場合

まず、痛みが出る動きを控えます。あわせて、消炎鎮痛薬やアイシング、ギプスや歩行用ブーツによる固定、リハビリが行われ、症状が軽い場合には足底装具が使われることもあります。手術をしない治療は、4〜6か月ほど続けることが一般的です。長く感じるかもしれませんが、これは競技復帰までの一律の目安ではありません。症状や治療の内容によって、回復までにかかる期間は異なります。

脱臼した場合

一定の期間、足をしっかり固定する方法が選択されることがあります。足に体重をかけないギプスで6週間以上固定すると、手術をしなくても改善する場合があると報告されています。固定によって症状がおさまる場合もありますが、再び腱が外れることもあるため、状態を確認しながら治療法を選びます。

脱臼を繰り返す場合や、腱断裂による症状が保存療法で改善しない場合

手術が検討されることがあります。手術には、腱を押さえている組織を修復する方法、腱の通り道である骨のくぼみを深くする方法、裂けた腱を整える方法などがあります。どの方法を選ぶかは、障害の種類や損傷の状態によって変わります。
 
治療法に一つの正解があるわけではありません。腱や足首の状態に加え、普段の運動量や、どの競技レベルまで戻りたいかも含めて、医師と相談しながら決めていきます。日常生活でとくに困っていない場合は、まず手術をしない方法が選ばれます。一方、練習量が多い人や、本格的に競技を続けたい人では、手術が検討されることもあります。

競技復帰に向けた考え方

手術後の経過については、こんな報告があります。腱の断裂で手術を受けた方々を1年以上追ったところ、活動を再開できた時期は平均約3か月半でした。このうち競技をしていた16名中14名が、元の競技レベルに戻っています。ただし、この報告は少人数の手術例であり、回復までの期間は、損傷の程度や受けた手術によって変わります。
 
手術後の進み方も、受けた手術によって変わります。はじめは足に体重をかけずに過ごし、傷の確認がすんだらギプスや歩行用ブーツ、装具に切りかえ、それに合わせてリハビリを始めていきます。例えば、腱症の手術では、4〜6週間の固定後に、動かす練習と筋力を戻す練習に入るケースが報告されています。
 
早く競技に復帰したいと思うのは自然なことです。ただ、復帰の時期は、痛みが消えたかどうかだけでは決まりません。足首をどれくらい支えられるようになったか、競技の動きに耐えられるかなど、医師や理学療法士と一つずつ確かめながら、一歩ずつ進めていってください。

まとめ

腓骨筋腱障害には、腱症・腱鞘炎、脱臼・亜脱臼、断裂といったタイプがあり、必要になる治療も変わります。外くるぶしの後ろの痛みはネンザと症状が似ているため、原因が見落とされることがあります。「ネンザが長引いているだけ」と思ったまま過ごしていると、原因にたどりつくのが遅れてしまいます。
痛みが長引くときは、腱そのものだけでなく、足首の安定性や足の形もあわせて診てもらう必要があります。たとえ画像に何か写っていても、それが痛みの原因とはかぎりません。どこが、いつから、どんなときに痛むのか。その積み重ねと診察を合わせて、はじめて見当がついていきます。復帰の時期も同じで、痛みが消えたかどうかだけでは決まりません。
 
外くるぶしの後ろの痛みが長引いているなら、我慢して練習を重ねる前に、一度、整形外科で診てもらいましょう。

※本記事は、スポーツや日常生活におけるカラダのコンディショニングに関する一般的な情報提供を目的としたものです。記載されている内容は、特定の症状や状態に対する効果を保証するものではありません。症状が続く場合や気になる点がある場合は、医療機関にご相談ください。

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記事監修・整形外科医

毛利 晃大先生
毛利 晃大先生
順天堂大学医学部卒業、日本整形外科学会会員 日本医師会認定スポーツ医、日本バスケットボール協会スポーツ医学委員会所属ドクター

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